博愛歯科

行きつけの歯医者がある。東池袋にある博愛歯科さんだ。

昔から歯医者が嫌いで嫌いだったが、とうとう虫歯の治療をする必要が出た時に、出来るだけ歯を削れなくて済み、なんならば痛みも感じないような治療法がないものか、と調べたときに知ったのが3Mix-MP法という治療法だった。簡単に言うと患部に薬を塗り時間を経る事によって虫歯が治ってしまうという夢のような方法。出来れば、この手法で治療をしたいと思うようになり、さらに調べる内に出会ったのが博愛歯科の岩久先生。ホームページにも記載してあるが、3Mix-mp法と3Mix法という別々の方法があり、3Mix法という手法を研究・開発されたのは岩久先生なのだが、3Mix-mp法は後進的に研究もなされないまま広まってしまった。また、3Mixをやるにしても結局少しは歯を削る必要がある事を知って、恐怖感を抱えながらも治療に行く事を決め、そこからはすっかり行きつけとなり今に至る。

なぜ行きつけとなってしまったかと云えば、その仕事のやり方に惚れた、という事に尽きる。
まずホームページをみるだけでも医院の姿勢を見てとる事が出来る。ページ一枚に医院の概要や先生の略歴が敷き詰められたお世辞にもお洒落とはいえないデザイン。こういうシンプルなデザインを用いる事が出来るのは、己の技術に自信があるか、世間知らずかのどちらかであろう。そしていざ中身に目を向けてみると大量の文字。読む気が失せてしまう事をぐっと堪えて読み進めてみると、患者の自助努力こそが一番大事である、という歯医者にとっては利益とは反して中々書きづらいが、実際は至極真っ当であると思われる事が協調して記載してある点が僭越ながら素晴らしい。

さて実際に医院へ足を運ぶとどうか。更に度肝を抜かれる事になる。
まず、内容が一般的に想像するような歯医者とは全く違う。広さとしては、ワンフロア一室が小さな喫茶店位。いわゆる受付嬢もいなければ、広い受付スペースもない。それもそのはずで、先生とその奥様のお二人だけで経営をなさっているからだ。完全予約制なので待合室で大量の患者が待っている光景もここにはない。歯科業界では経営コンサルが入って敢えて予約時間を被らせ、待ち患者を意図的に発生させる事によって流行っている歯医者である事を演出する医院も多々ある事も伺った。ただただ歯の治療をする事に最適化された空間。

では、治療の方法は如何かというと、上記の経営スタイルなのでとにかく丁寧。
歯石取りから歯ブラシの指導までたっぷり時間を掛けてやってくださる間、ラジオなどの音楽はないが先生の歯に関するあれやこれやのお話しがBGM代わりとなる。先日は、歯科医同級生との宴会の話が面白かった。曰く、宴会では歯が悪い同級生の隣に陣取る事が常らしい。そのこころは、歯がしっかりしていない人間からアワビなどの高級食材を貰えるから。歯科医には歯が悪い人が本当に多い、という暗喩されていたのだが切ない気持ちになった。

今よりお客さんが増えると逆に困ってしまう、とおっしゃっていたのでブログに書いてしまうと怒られるかもしれないが影響力が露程もないのでまあ大丈夫。これからもまだまだお世話になろう。