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掃除

「素材や造りが良いから今でもこうして履く事が出来る。本当に良い物は何年たっても使い続けられる。こういう服を私は作りたい。」と、母親から譲り受けた黒地で重厚感のあるスカートを履きながら、静かながらも熱く語っていた子。通っていた大学をやめて今は専門学校に入りなおしたみたい。

武道や整体を実践されている方。引っ越しのお仕事もされている。坊主頭に無精髭を生やしていらして一見威圧感を感じるが話をしてみると、独特の柔らかさを持っていらっしゃる。家の中に無駄なものは置かない事を徹底されていて、所有する本の冊数を決められ、冷蔵庫すらも持っていないようだ。身体を使っているところや呼吸法をしているところを間近で見させて頂いたが、身体を使う場面になると雰囲気ががらっと変わっていた。

先生。修行時代には、講習に出るお金を貯めつつ土木のバイトで食いつないで生活をされていた。土木の仕事は重い物を持たざるを得ないから、そこで身体の使い方を学びながら。「あの頃はロックで、ノーフューチャーでしたよ。どういう事かって?明日がどうなるかなんてわからなかった、バイトで食いつないでいたのでお金もなかったから、風呂なしのボロアパートに住んでいてね。最近の人は、何でもかんでも欲しがるんですよ。」自分の身体を変えられるようになれば、他人の身体も変えられるようになる、といつも説かれる彼は、自分の身体は自分で調整されている。


それを踏まえて、自分の家庭の状態、自分の身体の状態を見直してみると、周りに大量にあふれている、色んな物を捨てずにはいられない、色んな事を断ち切らずにはいられない、色んな人との距離を置かずにはいられないようになってしまって、一体これはどういう状態なのだろうと省みた時に、おそらく上述した人たちのイメージが自分の中に突き刺さっているのは間違いない。きっと、いくらでも装飾できるような言葉だけが刺さっているのではなくて、その人の生き方そのものが生身の肉体をもって眼前に示された結果、その人まるごとが強く深く突き刺さっている。